hellkite 日記と雑記とメモ。

Shiki Kazamaの駄文と音楽と、時々技術な感じ

Game Devシリーズセミナー、geotrion


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IGDA日本主催のセミナー、iPhone/iPod touch Game Dev第2シーズン2回目。今回のセミナーはGPSを使ったゲームデザインの可能性ということで、地図上にでっかい三角を作っていくgeotrionがテーマでした。
IGDA Japan chapter - iPhone Game Devシリーズセミナー(10) GPSを使ったゲームデザインの可能性:リアルタイムオンラインGPSゲーム『geotrion』メイキング<8月9日(月)18:00>

ゲームデザインは大事

セミナーを聞いていて1番感じたこと。それは、ゲームデザインを徹底的に考えているなぁということ。
ゲームの全ての要素に理由があるくらいに考えるようにしないといけない。
あと、ゲームデザインをするときについやってしまいがちなこと・・・。運まかせにしないこと。それはゲームではない。これは、心に留めておきたい。
ゲームとは、自分の判断で選択できること。それができないのは、面白くないし納得いかない。

発想をするという習慣

セミナーの途中でプレゼンターの2名でアイデアを出しあう場面が見られました。何か思いつきがあったら、その場で*1話してしまう。ちょっとしたことで盛り上がって具体的なアイデアの話になっていく、そんな習慣がクリエイターには必要なんだなと改めて感じました。

収益は二の次

これまでセミナーで話しを聞いた会社・個人は収益としては大成功を収めている人ばかりでしたが、今日のセミナーのお二人は今回のゲーム、geotrionに関しては収益が上がってないそうです。
数十万円くらいっていましたか。まぁ、それでも大きいですけど・・・。ビジネスにはならない感じですね。
大事なのは、収益より継続的にやれるかどうか。売れるのか?と思っていたアプリが売れることもあるし、売れる!と思ったアプリが売れないこともある。
だから、即収益を考えてしまうと一歩を踏み出せなくなってしまう。それじゃ可能性はゼロだ。


ハードルは、まずリリースすること。
そして、それを育てていくこと。
諦めずに継続していける人が成功するのだろう。


ところで、無料Saleをするとダウンロード数は一気に上がるらしい。それだけ無料は拡散という意味では効果があるみたいだ。

結局、GPSってどうよ?

まだまだ使い方が確立されていない機能でしょうね。そういう意味では、6軸加速度センサーなんかも今のところ模索中である機能の1つかもしれません。
そういう意味では、アイデア1つで戦えるっていう状況は変わっていないのかも。


一方で、神経を使わなくてはいけないのは、個人情報。
位置情報は個人が特定できてしまうほど、とてもデリケートな情報であることを認識してユーザにも広めないといけないですね。


関連:iPhone/iPod touch Game Devシリーズセミナー第2シーズンに行ってきた - hellkite 日記と雑記とメモ。


以下は、セミナー時に取ったメモです。
これまで同様、まとめていませんのであしからず。


geotrion
リリース日をあまり正確に覚えていない。位置情報の扱いが厳しくなったのでなかなか審査が通らなかった。2ヶ月くらいかかったかも。
何度もリジェクトをもらって、Appleから電話まできた。


自己紹介とか。
西氏
コンシューマ系。スクエア。ゲーム制作、プロデュース。
チームを持つとなかなかやりたいことができない。個人会社を作った。


澤氏
オンラインゲーム会社の代表をしていた。


geotrion
コンセプトは、グローバル、リアルタイム、オンライン
GPSを使う。世界地図上に全世界のプレイヤーが表示される。
文字、ストーリーはない。言語は英語だけど問題なし。


エナジーの回収はおはじきの要領。
高度の概念。
三角形を作る。万国共通。


ゲームらしさとバランス
リスクとリターン、メリットとデメリットをユーザが選択するようにすること。3つ宝箱、どれかひとつが当たりというのはユーザに選択肢がないためNG。
点数は爽快感を得る為に高い点数を一気に得られるようにしたが、何点入ったかがわからないと不評。
人間がすぐに判断できるのは10000点くらいか。


わかりやすく!
画面の構成要素はわかりやすくすること。はじめはひどかった。RPGみたいに経験値とかがあった。
ピンチインで操作しようとしたが、フリックなのかどうかが判定しにくい。プログラミングがやりにくい=ユーザも間違いやすい。ということで操作はタップかフリックに絞った。


世界対応にしようとして英語。
日本語は綺麗に収まらない。簡単な英語なら、iPhoneユーザなら大丈夫と判断した。
やはり、全世界にディストリビュートできるのがAppStoreの魅力。
三角形というのは全世界共通だろう。
フード、文化を排除する。無言語化する。梅干しを見てよだれが出るのは日本人だけだ。


世界ランキングは2つ。得点数とトライアングル作成数。
過去7日間の集計で、いつ初めてもOK。


Twitterの連携機能。
ヘビーユーザ。2人でTwitterの@で開発のことをやり取りしていた。丸見え。感想が結構きた。それがいい、こっちの方がいいんじゃないですか?という突っ込み。
100人程度にリリース前にサンプルを配って感想をもらっていた。


触ったときにすぐに反応がないとストレス。SEを入れたりして何かしらのアクションを返す。
10分に100回、触った時にわずかに動作が遅れる、そんなのが100回も溜まると無意識的に遊びたくなくなってしまう。


フィードバックとその対応

  • 人がいない
    • 同時に動かしている必要がある。
    • 日本が多い、世界には人がいない
    • 一回無料にしたら、すぐ6000ダウンロードされた。海外もダウンロードする人が多かった。
  • サーバが重くなった
    • ロジックの見直し、クラウド環境のアップデート。


今後のアップデート
あと1人いれば、というときのためのお助けUFOを呼ぶ、といったアイテムの充実をしたい。


また、マップの特定のランドマークをトライアングルで囲むと、インセンティブが発生するようにしたい。発展させて、店舗とタイアップするようにしたい。店舗を囲むとクーポンが取れたり。。。このゲームはサーバがいるのでそういったタイアップを組みやすい。


どう作っていったか。企画の経緯。
位置情報を利用した、結界を張るようなゲームを考えていた。
iPhoneでリアルタイムなMMO的処理を考えて大幅に路線変更。
最初の企画、画面遷移は手書き

位置ゲーム=動くのかったるいの払拭。
コミュニティを内包せず、外部に持つ。
できればARをやりたかった。エナジーが浮いている。。。みたいな。他の人の位置がARでわかる、とか。
運の良さは排除。レアアイテム。


対人要素もあるが、対人戦ではない。人と戦うのは嫌う人が多い。特に、仮想でない人とは。


開発苦労話し
DTKメソッド。Dokyou To Konjyou。
リアルタイムな世界規模のプレイヤーが処理。
最大の敵は人間。会議毎に仕様を追加するP、仕様を忘れるD。


GPSゲームに取り組んで考えたこと
位置情報は、作り手にとっては魅力だが、プレイヤーにとってはどうか?
今のところ、地縛霊型、浮遊型、お参り型の3タイプにわけることができる。
それぞれ、タグなど痕跡を残す、geotrionのように何かが浮かんでいるもの、スタンプラリーみたいなもの。
どれがいいのか、どれに当てはまるのか、考えてみる。


GPSとコミュニケーションについて
リアル地図上にTwitterIDをマッピングすることの怖さ。セキュリティ。


GPSゲームの展望
天候、気候との連動の可能性
世界地図をAPIでなく、独自で持つことの可能性
リアルの地図ではなく、仮想空間の座標と連動させてみたい。


有料版は数100くらいしか売れていない。今後が勝負だと思っている。
ここまでやれば満足感があるだろうというところを大事にする。金額で見てしまうとモチベーションに関わるんで。
開発期間は2〜3ヶ月。プログラマー2名、グラフィッカー、サウンドの計4名。ちなみにプログラムはクライアント側とサーバ側の2名。


GPSゲームはまだまだ。
Geocaching。
Parallel Kingdom、ユーザと競争。PK。攻撃すると批難されたりする。
ケータイ国盗り合戦。これは大成功。


仮想空間の戦う動機づけと現実空間での戦う動機づけ。リアルなゲームも、所詮は仮想空間での動機づけに過ぎない。


高さと角度がわかるといいかも。アイデアが色々出てくる。
2人の高度差と距離でロケットを打ち上げるetc


ツールとの違い。ゲームはルールを作る必要がある。
ソーシャルゲーム、ポチポチキーを押すだけが多い。凝った事をするのは、モチベーションとのバランスが大事。ルール、操作を覚えるほどやりたいと思う必要があるのか。


収益モデルの組み方。
試している段階。人数を抱えないと収益が上がらないが、ユーザが多いとサーバの構築が大変。
むしろ、パッケージ販売の方がいいのではないか。
無料は市場破壊になりかねない。


無料版を出すときは制限をどうかけるか悩んだ。高度を制限するなど。
しかし、高度が高い所で感じる爽快感が一番のウリだから、高度に制限はかけなかった。
出し惜みしない方がいい。
一番回避しなければならないのは、誰もやっていない、という状況。


FieldRunner、はじめはBGMすらなかったが、細目にアップデートが行われた。応援したくなる。アップデートの多さ。


ユーザからのフィードバックは取りやすくなった。Twitterのおかげ。


単価は450円。数十万円くらいの利益?アメリカで売れないと話にならない。日本でトップ2位でも、アメリカでは100位に入らない。しかし、アメリカでのプロモーションは難しい。
自分の国のものを買う傾向がある。
瞬間的な収益より継続的にやれるように考えたほうがいい。売れないことを前提にやった方がいい。長い目でみる。
リリースすること、そして継続すること。


最近は、一日に800本くらいiPhoneアプリがリリースされている。その中での戦いであることは忘れずに。

*1:時間が押していても・・・