hellkite 日記と雑記とメモ。

Shiki Kazamaの駄文と音楽と、時々技術な感じ

Androidへの参入には相当の覚悟をするべき

12月3日にAndroidに関するセミナーがあったので行ってきた。
Android が搭載された携帯の発売が話題になってるし、ET2009ではAndroid一色だったらしい。それを静観しているのは、それだけでリスクになる可能性がある。そう思って参加したのだが、興味を持ったのはAndroidそれ自体ではなく、Androidがもたらす未来像だった。
携帯事業者以外のメーカーが考えたサービスをハードを含めて提供できる可能性がある。
家電メーカが自動車業界に参入するのと同じだ。通信事業者でなくても通信端末が作れる時代がきた。その時代をどう生き抜いていくかが今後問われていく。


1番印象に残ったのは、福田尚久氏の話。
全然知らなかったが、Appleの副社長にもなった日本人だ。ここで、ジョブズについて話ができる人物の言葉が聞けるとは思わなかったが、言うこともなかなか強烈だった。

Androidで何を提供するつもりか?AndroidだろうがiPhoneOSだろうが消費者には関係ない。まず提供するサービスが先にあって、その実現方法としてメリットがあるならAndroidを採用するべきだ。でなければ、失敗する。


昔本で読んだエピソードを思い出した。
コードレス電話が出始めたとき、それをセールスした人の話だ。「コードがなくなりました、無線を使っています。」と売り歩いていたときは全然売れなかった。ところが、「部屋を移動しながら電話ができます。」「その書棚の資料を取るときも電話を置く必要がありません。」「1階でも2階でも電話が取れます」とできること、イメージしやすいことをアピールするようにしたら売れたという。
付加価値をもたらすのは技術かもしれないが、ユーザには関係ないことだ。


Appleはその点、徹底している。iPodは音楽プレイヤーではない。音楽を楽しむためのサービスそのものだ。iPodにはiTunes Storeがセットになっている。iPodを買い、iTunesをインストールし、ネットに繋げば音楽が楽しめる。そこに難しい言葉は出てこない。
CDを買ってきてリッピング(さて、どのファイル形式にしよう?)し、転送しなければならなかった他のプレイヤーとはそこが違う。実際、iTunes Storeが整備されるまではiPod事業は不振が続いた。


Androidを採用することに意味はなく、それでどんなサービスが展開できるのか?それによって何をもたらすのかが重要だ。
それだけのことを整備してやる覚悟があるか?あるなら挑戦だ。そのサービスがもたらす世界を実現させるまで、戦争が続く。


Androidマルチプラットフォームの1つに過ぎないことを痛感するセミナーだった。Googleの狙いはAndroidそのもので利益を上げることではない。まだコンシューマーにとって敷居の高い情報端末の競争を促し、徹底的に戦わせることにある。その戦場を作り上げる活動の一環として、Androidがある。
ここまで話題になって参入が増えれば、すでにGoogleにとって一定の成果が得られたと言えるだろう。Androidが失敗してもこれ以上失うものは何もない。


Androidやっておけば、仕事が増えるという甘い考えは捨てないといけない。Googleはしたたかだ。


参考:本田雅一の「週刊モバイル通信」
   Life is beautiful: アップルの30年ロードマップ
   キーパーソン語録 - 当社にとってチャンス---日本通信 福田 尚久 常務取締役:ITpro